ZINE ”My Book Shelf”より
「小林聡美
小林聡美を最初に観たのは映画『転校生』(大林宣彦監督 1982)だった。子供ながらにすごくおもしろかったのを覚えている。次は『やっぱり猫が好き』(1988-1990)で、もたいまさこ、室井滋と3姉妹を演じたこのシチュエーションドラマは人気を博し、私も大好きだった。のちにDVD-BOXを買いそろえるくらい大好きであった。
それから図書館でエッセイを見つけ、その面白さに驚き、『凛々乙女』『東京100発ガール』と続けて読んだ。『やっぱり猫が好き』の脚本家であった三谷幸喜と1995年に結婚。エッセイも『マダム小林の優雅な生活』(1998)『マダムだもの』(2002)と風変わりな夫との生活を描いたものになり、これがまた最高に面白かった。
しかし5年ぶりのエッセイとなった『ワタシは最高にツイている』(2007)を読んだ時、なんとなく、あまり幸せじゃないのかな、と思った。この間に初主演ドラマである『すいか』(2003)、大ヒットとなった『かもめ食堂』(2006)と女優業では大活躍。
2011年に三谷幸喜との離婚を発表し「これといったはっきりした理由があるわけではないが小さな違いが積み重なってしまった」という内容のコメントが出されたが、マスコミは三谷幸喜の浮気疑惑などを書き立てた。
それから数年後、三谷幸喜脚本、演出の舞台『グッドナイトスリイプタイト』(2008)をDVDで観た。二人暮らしの夫婦の10年間を描いたストーリーで、劇中では作曲家の夫を中井貴一、妻を戸田恵子が演じているが、中井貴一が「この役は三谷さんそのもの」と語っていたように、三谷幸喜、小林聡美夫妻の物語であることは明白であった。なるほど、こういうふうに別れたのか、と観た後あまりに落ち込んでしまい、いつもなら楽しみにしているコメンタリーもいまだに観れていない。ただ離婚の際のコメントに嘘はないと思った。
その後大学に入ったり俳句を作ったり楽しそうにしている小林聡美を見るとうれしいし、女優としていろんな作品に出るのを楽しみにしている。
と、このように改めて書くと、小林聡美のことを始終考えている熱心なファンのようだが、年に一度か二度、出演しているドラマや映画を観てエッセイを読むだけの非常にライトなファンである。ただファン歴が長くなってしまった。(この文章も長くなってしまった。)」